自死した表現者の作品には不可避的に色々な付加価値がまとわりつく、良くも悪くも
という問題について昨晩ずっと考えてました。まったく眠れなかったので。布団の中で悶々としながら。モートン・フェルドマンを聴きながら。まあ、下に書いた二階堂奥歯の件が端緒だったんですが。山田かまちや山田花子や尾崎豊から、あ、まあ挙げたらキリがないので止めますが。
それで思い出したのが、吉永嘉昭の『自殺されちゃった僕』。親友で漫画家のねこぢる、仕事のパートナーだった青山正明、編集者で最愛の恋人という3人の近しい人間に相次いで自殺されてしまった経緯と、その後遺症でボロボロになりがらも必死で筆を取る筆者の姿が胸を打つ名著であります。覚せい剤で友達がバッドトリップした時、鶴見済だけは警察が怖くてまっさきに逃げた話とか出てきて、まあ、90年代サブカルチャーの呪いを一身に背負ったような本ですね。
ちなみに、担当はかの伝説的編集者(って今も現役ですが)赤田祐一さんなんだけど、にもかかわらず、誤字脱字はやたら多いし、てにをはもところどころでくるってる。こんな初歩的なミス、赤田さんほどの人が見逃すはずないだろうから、これ、たぶんわざとそのままにしてるんではないか、と。肉体的にも精神的にも追い詰められて、「でも、書くんだよ」状態で執筆を続けた筆者の錯乱した心境をそのまま活写するために、あえてそうしたのでは? なーんてことを昨晩ふと思ったのでした。今度赤田さんにお会いしたら聞いてみたいところです。とまあ、朝なんで(あ、もう昼か)とりとめない話ですが。
そういえば、ばるぼらさんが青山正明の生涯を追う連載を始めましたね。楽しみに読んでます。って、いかにもサブカルっぽい話題だ! こういうこと書くと「このサブカル野郎が!」とか言われるわけですか? 知らないけど。まー、赤田時代の『クイック・ジャパン』と松山晋也さんが編集長だった頃の『スタジオボイス』で人格形成がなされた人間なもので、ご寛恕のほどを。
http://sniper.jp/008sniper/00874aoyama/post_803.php
http://www.jarchive.org/journal/2008/04/aoyama03.html
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