観たもの

昨日は吉祥寺シアターでロリータ男爵をはじめて観たんですが、これがかなりおもしろかったです。
http://www.lolidan.com/
前情報からジャンクでアッパーで歌あり踊りあり、くだらないけどオモロくて、全然本格派狙ってなく、むしろあえて傍流の傍流を極めてやる、みたいなノリを予想してたんだけど、すごく大雑把に言うとだいたいそんなかんじ。という意味ではやはり毛皮族に近いものを感じるかな。観た後に何も残らない享楽性の極みみたいな演出も、けれんもここまで突き詰めると痛快だなーと思いながら楽しんだ。
スクールウォーズ』や『不良少女と呼ばれて』のパロディとおぼしきナレーションがあったり、役者のメイクや衣装が異様にバタくさかったりするあたり、大映テレビへのオマージュでしょうか? 役者のせりふ回しがもろ『スチュワーデス物語』の堀ちえみ口調になっていたり、性格の悪い良家のお嬢様が子分を引き連れて権力を濫用する、みたいなステレオタイプな状況設定も、大映テレビっぽい。毛皮族も『おこめ』で『スチュワーデス物語』を、『遺骨のトットさん、ドブに落ちる』で大映テレビをネタしていたけど、やはり世代的なものなのか。自分もあの辺を死ぬほど繰り返し見て育ったので、共感しますね、やっぱり。あとは、里中満智子など、ひと昔前の少女マンガ的なテイストも分かりやすく盛り込まれていた模様。ここら辺は門外漢なんだけど、なんとなく分かった。
ちなみに、今回はバレリーナの話だったんですけど、主役格の役者はぜんぶ、ほぼバレエに関してはしろうと。グダグダのヘロヘロです。で、こういう作品やるならちゃんとレッスンして完成度高めて欲しいとか言う人がいるんですけど、それは、全然違うと思う。そういう人は劇団四季のミュージカルとか観に行けばいいんじゃないですか? あれはあれで完璧で隙のない娯楽ですからね。毛皮族の『天国と地獄』の時もエモジュンの歌が素人のカラオケレベルとか、踊りもテキトーすぎるみたいな批判があったけど、そういう人にとってそもそも、毛皮族は必要ない劇団なんだろうと思う。結局、作品を評価する際の最終的な座標軸って、その人にとって本当に必要か、あるいは切実かってことだと思うから、だったら観に行かないほうがみんな幸せになれるよ。
だいたい彼女たち、そもそも王道とか本格派のバレエとかオペレッタをやろうとしているわけじゃない、というかむしろ、そういうものに対するカウンターとか批評性が肝なのであって。いや、批評性というとちょっとカタいか……。だからほら、コロッケのものまねみたいなものだと思うんだよなー。コージー富田でもミラクルひかるでもなく、コロッケ。ホンモノにいかに近づけるかに主眼を置いたものまねじゃなくて、ホンモノをデフォルメしたりいじったりパロディの対象として割り切ったりする。全然似てないし別ものなんだけど、似てる/似てないという座標軸から外れたところに面白さがある、みたいな。
で、ロリータ男爵は邪道の中の王道を狙ってるんじゃないかな。オペラに関する話がいちばん象徴的だけど、別に王道を目指したけどできなかったとか、能力が足りなかったとか、そういうことじゃなくて。最初から目指している地点が違うんですよ、劇団四季とは。って、当たり前すぎるほど当たり前のこと書いててちょっと恥ずかしいですけど。
あとはこの路線だと毛皮族と競合せざるを得ない気がするので大変な気はしますなー。って、毛皮族のことばっか書いてるけど、ロリータ男爵の場合、影響を受けてこうなった、という印象はまったく受けなかった。むしろ、こういう路線って今空席だよねと思った劇団が同時多発的に出てきたのだろうし、だったら映像の使い方とか含めて大人計画の影響のが強いのかな?とも。
ちょっとまとまらないけど、とりあえず一旦区切ります。