ホンモノのニセモノ
はてなを使い始めたはいいが機能が多すぎて全然わかんないのは困った。コメントとトラックバックってどう違うのか、写真のサイズはどうやって調整するのか、アドレスをあかさずにメール送信フォームを設定したい、カテゴリーがつけられないんですけど、等々。もう疲れた。時間がない。5月11日の文学フリマまでにミニコミを作らないと大ボラ吹きになってしまうのに……。日記とか書いてる場合じゃないのだが、まあ最初ですから。さらっと書いちゃおう。
電車の中で山本精一さんの『ゆん』を読んだ。『ギンガ』も名著だったが、虚実の境目が判然としない秘境的なエピソードの数々はますます吸引力を増し、軽妙な筆致はほとんど深沢七郎の域に達している。山本さんはコラムニストになってもきっと大成しただろう。リリー・フランキーや松尾スズキや中島らもと遜色ない程度のものは楽々量産できそうだ。
まず個々のコラムのタイトルだけで読みたくなる。「いのちの長電話」「サブカルブラザーズ突発行状記」「アイデンティティ崩壊の音をレコーディングする」「王道に王道なし、ただ王道あるのみ」等々、変な頓知が効いていたり、禅問答みたいだったりする。しかも内容と全然関係ない。「チベットの坊さんにフリスビーで負けた日」は中古レコ屋の査定に関する話、「音響派音響派でウルサイわ!」は過眠症の友人に関する考察。
オカルトめいた挿話が度々登場するけど、どうやら科学では説明のつかない不思議な出来事に巻き込まれていく体質らしく。普段だったらほんとかよ?と疑ってしまうのも、飄々とした文体で語られると、そういうこともあるよなー、となぜか納得してしまう。
あと、この方はとても博識、いや、ほとんど博覧強記である。以前『トリビュート・トゥ・ニッポン』というコンピを山本さんが企画して、それを手伝った時に天皇制の話になったのだが、非常に理路整然と持論を展開されていた。しかも小室直樹とか社会学の大家を引用しながら、だった。
あえて詳しい内容には触れませんが、つまんない新譜買うなら1800円でこれ買いましょう。ギタリストらしく、意表をつくコード進行だらけの文章が楽しめますよー。しかし、いい文章を読んだ後ってその人の文体が自分にも乗り移るんだよね。それも、こうやって日記を書く時よりむしろ、ぼんやりものごとを考えているとき、ふと気づくと山本精一文体で思案していたりする。そういうのを「かぶれる」と人は言うわけですが。
あ、篠原ともえがチェルフィッチュとコーネリアスとピナ・バウシュを全部見に来ていた話、彼女の『メガフォンスピークス』という21世紀に残したい大名盤がパフュームやmegや鈴木亜美の先駆的存在だった、という話は後日書こうと思います。
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